来月3日にNASAが火星探査機を打ち上げることがニュースになっている。記事によれば
火星に着陸して氷の確認と生命の探索に挑む探査機「フェニックス・マーズ・ランダー」が、8月3日に米フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げられる。
米航空宇宙局(NASA)が9日、準備が順調に進んでいると発表した。
フェニックスは、来年5月末ごろ火星へ到着。パラシュートと逆噴射装置を使って、北極付近の平原に軟着陸する。長さ2・35メートルのロボットアームで、地表から数センチの深さにあるとみられる氷をすくい取り、火星の水を史上初めて直接確認するのが最大の狙いだ。
3か月の探査期間中、深さ50センチまで掘って土壌を採取し、生命に関係する有機物の検出なども目指す。NASAは「季節によって氷が定期的に解ける場所では、今も微生物がすめる環境があるかもしれない」と期待している。
とのこと。
フェニックスの着地は岩のない場所を狙って、地球でいえばアラスカと同じ程度の緯度にある地点を予定していて、マイナス100度の気温のなかの作業になるのだそうだ。ザ・フェニックス・マーズ・ランダーの大きさは、ソーラーパネルを広げると幅約5.5メートル、長さ約1.5メートル。無事降下・着陸に成功すれば、ロボットアームを使って土壌を1メートルほど掘り起こし、土と、地下にあると考えられている凍った水を採取する予定なんだって。
SF小説などではお馴染みのテラフォーミング(星を人類が居住可能な環境に改造すること)。火星や金星については、かなり真面目に具体的に検討されているのだとか。
金星は暑く、火星は寒い。どっちが改造しやすいかといえば、火星なんだって。それにしてもWikipediaの「火星を地球のような惑星に作り変える方法としては、火星が地球よりも寒い惑星であることから、一般的には何らかの方法で火星の温度を上昇させることが第一条件である。そのためには、地表の熱を逃さないように大気の層を厚くする必要がある。基本的な原理でいえば、今地球で起きている温暖化をそのまま火星で再現すればよいとされており」というくだりには笑った。皮肉ですねー。どこかの国ひとつ分の人口と設備をまるごと火星に移すことができたら、あっという間に居住可能になったりしてね。名づけて火星に住み隊(爆)。
さて、その方法。なかには地下核爆弾を使って……とか、隕石や彗星を火星に大量にぶつけて……とか、思わず「あの、もしもし?」と言いたくなるようなのも提案だけはされているようだけど、とりあえずもうちょっと穏やかな(でもないか)ものをあげると――。
1.アルミホイルよりも薄い巨大な鏡を火星近くの宇宙空間に設置し、それで太陽の光を集めて火星の極冠に照射し、氷を解かす。火星の両極冠は氷とドライアイスでできているとされているので(ってそれを今回確かめに行くわけだけど)、その氷が溶けると、大気中に水蒸気と二酸化炭素が増えて温室効果が働き、気温が暖かく保たれるようになるっていうわけ。
2.火星の表面を覆っている、太陽光を吸収しやすい暗黒色の炭素質物質を破砕して、火星表面にまき散らす。つまり太陽光の吸収効果を上げるってことなんだけど、砕いた炭素質物質が風で吹き飛ばされちゃうんじゃないの、というツッコミもあり(笑)。他に、フロンガスのような温室効果ガスを火星に持ち込むアイディアもあるらしい。なんでも火星大気の100万分の1のフロンを加えると、温度が最大40℃上昇するというんだけど、火星みたいに紫外線が透過している大気中では、フロンはわずか数日で破壊されちゃうんだそうで……これはボツかな。
3.ある程度火星の大気が暖かくなり、液状態の水も維持できるようになったら、火星で育つように品種改良した藻類を火星に持ち込む。これで火星の大気に酸素をもたらそうという目論み。藻類の改良に、かなり高度な遺伝子工学的研究が必要そうだけど。
4.火星の地下にある氷を溶かし、そこへ大量の塩を投入して海を作り、そのなかに、酸素や日光を必要としない生命体をはなして繁殖させる。生命体の中には、酸素を作り出せるものを入れておく。地球誕生の再現だね。酸素が充分海に溶けて飽和状態になると、やがて酸素が海からあふれて、大気へと流出しだす。その酸素が紫外線に当たって化学反応を起こし、やがてオゾン層をつくりだし、温室効果にもつながると。
こういったいろいろな方法を利用して、もしテラフォーミングができるとしても、1000年ぐらいかかる。おまけに当然地表の何割かは海になるので、利用可能な土地はアフリカ大陸ぐらい(笑)なんだって。ああ、そんなにかからずにできるのはパラテラフォーミングというので(パラは擬似的の意味)、この場合は火星の環境は変えなくてもいい。簡単に言えば、1000メートルぐらいの高ーいビルを一定間隔に建てて、その間を透明な屋根で覆い、内部を大気で満たすというもの。これを拡張していって、ついには火星の大部分を覆ってしまう。これなら現在の科学力で可能らしい。莫大なお金と資材がいるけどね。
こんな話題がJAXA(宇宙航空研究開発機構)や、文部科学省のウェブサイトに堂々と載っているのだが、NASAの今回の探査の目的は、「火星にかつて生命が存在したかどうかを含め、地球の周辺についての理解を深めるため」と随分大人しい(笑)。
もしも、採取した氷のなかから微生物が見つかったりしたら、どうする? 火星の乾いた寒い環境下でしか生きられない生物というのも、絶対にいないとは言い切れない。地球上では既にたくさんの生物を絶滅させてきちゃったけど、他所の惑星でもそんなことをして、いーのかなあ?
――というような議論が起こるのを危惧しているのかな?